吉田アミ「サマースプリング」

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吉田アミ「サマースプリング」を読んだ。

世界で見てもなかなか稀有なヴォイスパフォーマーである吉田アミが、
自分の中学生の頃の体験をつづった小説。

淡々と進む学校生活、ルールに縛られまくった教師、日に日に発狂していく母と祖母。
生きていく意味が見出せない生活の中で巡らされた思考の数々。

かなり凄まじい生活を淡々と、そしてどこか不思議な色彩を持った文体で表現している。

山田詠美「僕は勉強ができない」などと通じる、生きにくいがどこか魅力的な主人公。
これがノンフィクションだとはなかなか信じ難い。

吉田アミがどういう活動をしている人なのかを知っていると、
こういうバックグラウンドがあったから、ああいった声を出してパフォーマンスするのか、
といった感想を持てるが、何も知らない人がこの本を読んだらどういう感想を持つのだろうか。
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# by olga-tanake | 2009-01-30 11:53

くりいむレモン

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映画「くりいむレモン」を見た。 

前述の「メゾンドヒミコ」のオーディオコメンタリーを見ていたときに監督の犬童一心が言ってた一言。
「この社長と不倫している女の子は、山下敦弘監督の『くりいむレモン』の主役やってた娘なんだよね。山下監督が起用した人だってことですぐに僕も起用した。そういう信用できる監督が2,3人いるんだよ」

それってすごいことだ。
「この人が使ったなら」と信頼される。しかも山下監督は「リンダリンダリンダ」を撮影してヒットを飛ばしたけれどまだ若手といって差し支えない年齢。
気になるなあ。
と思って見てみた。

ストーリーとしては、親の再婚によって兄弟となることになった二人。
もともと仲が良かった二人、さりげなく意識して、さりげなく嫉妬して。
そして結ばれるが親に見つかってしまう。
逃げていき、なんとかしなくては、と追い詰められる二人。

短い話。
もともと有名なエロアニメだったが、それはもっと短くて15分くらいだったそうだ。
15分にエロが凝縮されていたために映倫に引っかかり30分くらいになったらしい。

全体的に色味少な目なトーン。
そういった中で描かれる繊細な心理模様は儚いだけにずっと目を奪われてしまう。

山下監督の他の作品が見てみたい。

内輪ネタだが山下監督は見た目はキーボーディストの鈴木潤さんに似ている。
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# by olga-tanake | 2009-01-25 17:19

メゾンドヒミコ

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映画『メゾンドヒミコ』を見た。

お金がないブスな事務員が、家を出ていったゲイの父親がゲイのために作った老人ホームでの仕事を頼まれる。
父は末期癌であり、入居者にもトラブルが舞い込んでくる。
メゾンドヒミコは存続していけるのか?
主人公はそこでなにかを見つけられるのか?

ゲイの人ならではの明るさ、ユーモア、そして生きにくさをきちんと描いている。
前回見た「パビリオン山椒魚」と比べると展開が非常に遅く感じられてしまい、なんだか単調な印象。
多分比べる対象を間違ってるのだけど・・・
というか最近の日本映画はスローな生活ブームに影響されてかスローでフラットなものが多いなあ。

そして今になって気づいたけどオダギリジョー3連続・・・
狙って見たわけではないのだけれど・・・
でもこうやって見てみるとちゃんとした役者さんなのですね。
数は見てみるもんだ。
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# by olga-tanake | 2008-12-23 12:37

パビリオン山椒魚

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『パビリオン山椒魚』を見た。

元々監督の富永さんが知り合いなので試写会で見ていたけれど、改めてDVDで鑑賞。

国宝として認定されている山椒魚、それを守る財団、それを偽者だと疑う組織。
レントゲン技師が山椒魚を盗まれるよう指示されるが、財団の娘が一緒に盗む方向に。
娘が妹で母が姉で、姉の旦那が父親で。
まぎらわしいが、そういった紛らわしさ満点な状況設定。
それが楽しめる人にはとことん面白い映画だと思う。

以前見た『シャーリーテンプルジャポン』のオーディオコメンタリーが非常に面白かったので、今回も楽しみにしていたら、菊池ナルヨシさんと二人でマニアックなトーク満載。
普通にトークショーでもいいのでは?と思ってしまうような濃いトーク。

オダギリジョーと香椎由宇が知り合うきっかけになった映画、なんて印象だけでは語れない映画です、はい。
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# by olga-tanake | 2008-12-23 12:26

ゆれる

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映画「ゆれる」を見た。

実家を出て東京で写真家になった男が、母の法事を機に実家へ行く。
父との確執、兄との思い出、兄が好意を寄せる自分の元彼女。
それぞれの立場、それぞれの思いが交錯する中、元彼女が遊びに行った渓谷の橋から落ちて死んでしまう。
その場にいた兄がやったのか?彼女は自分から飛び込んだのか?
もともと絡み合っていた人間関係がさらに複雑に絡み合い、混乱し、その中で決断が生まれていく。

田舎町、人間関係、生活。
単純なようでいて単純ではない人間の気持ちが露呈する。
最終的に感動のシーンが待っているのだけど、なんだか結局皆かわいそうに見えてしまう映画。
場所もあまり変わらず、小さな枠の中で完結しているのも日本らしさが出てて面白かった。
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# by olga-tanake | 2008-12-23 12:13

にっかつ

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「いたずらロリータ後ろからバージン」を見た。

仕事ではミスが多く恋人に捨てられた営業マンがごみ捨て場で人形を拾う。その人形が朝人間となっていて、恩返しをしたいと言ってくる。しかし恋人が戻ってきたり、人形が悪い団体(そうとしか言えない・・・)に売り飛ばされたりする。

1986年日活の制作であり、時代がモロに出ている作風。
人形が主人公のことを「ご主人様」と呼ぶあたりは、萌え系の先取りだと言えなくもない。
監督は「くりいむれもん」も撮影している人だそうだが、漫画的な手法が多い印象。

一番驚いたのは人形が職場に来てしまい、「ご主人様、セックスしよ!」と言った後に
職場の人間がまさに「ズコー!」という感じにこけてSEで「チャンチャン」と鳴るくだり。
本当にこういう風に表現している作品あるんだなあ。
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# by olga-tanake | 2008-12-05 13:16

どこの地方の名前なんだろ

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映画「ハンコック」を見た。

怪力、空を飛べる、でも怒りやすく雑で口が悪いため嫌われているスーパーヒーロー、ハンコック。人のいいPRマンと出会い、きちんとしたかたちでのスーパーヒーローになるべく努力する。

こういう話だと思って見始めたのだけど、それは前半まで。後半からは意外な人物が正体を現し始める。

ハリウッドものにしては、長さが90分と短い。非常にテンポよく見られるが、あっさり終わりになってしまう印象。

普段の2時間超の映画は「もう少し短くていいのになー」と思うのに。わがままなもんです。
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# by olga-tanake | 2008-10-29 16:26

三谷コウキ


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映画「マジックアワー」を見た。

街のボスの女と懇意になったホテルの支配人、ボスにばれて許すかわりに伝説の殺し屋を連れてくるように言われる。どうしても見つからない支配人は、街が映画っぽいことを逆手にとり、殺し屋役の俳優を仕立てることにする。

豪華な配役が関係なくなるくらいの三谷流ドタバタコメディ。バレるかバレないかのところの台詞まわしなどは、よく考えるものだと感心してしまう。最後の付け足し感も許せてしまうような脱力感はこの監督は上手だなあ。
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# by olga-tanake | 2008-10-29 16:18

久々に本を読んだ

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小川洋子「寡黙な死骸 みだらな弔い」を読んだ。

短編集なのだが他の作品の内容が違うものに入り込んでいたり、
小説家の文章として引用されていたり。
どこか小さい街に紛れ込んで、色々な人の視点で出来事を眺めたような気分になる。
全体的にどこか厭世感というかひやりとするような、不思議な手触りがする文章。

本当に久々に本を読んだなあ。
文章に入り込むのに時間がかかってしまった。
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# by olga-tanake | 2008-10-21 20:49

液晶絵画

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東京都写真美術館に「液晶絵画 Still/Motion」を見に行った。

映像(プロジェクション・液晶ディスプレイ含む)を主に取り扱った展覧会。
画像の森村泰昌が部屋ごとフェルメールに模したものや、ブラーのジャケットでおなじみのジュリアンオピーなどが参加。

自分的にはサムテイラーウッドに対してとても興味が沸いた。
ウサギの屍骸、そして静物が早回しの映像でどう腐敗していくかが流される。
しかし違う部屋ではマリアがキリストを癒しているものを模した短い映像が。
帰りに見た作品集ではパノラマで写した部屋の写真の中に、色々な人間模様が配置されている作品が印象に残った。
非常に強い印象を残す作品とは裏腹に、作家自身は非常にきりりとした顔立ちの女性。

こういった、心地よい裏切りがとても好きだ。
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# by olga-tanake | 2008-10-10 20:23